この記事は穏やかなぴょこりんクラスタ Advent Calendar 2025のために書きました。
はじめに
趣味の時間が取りづらいのである。長年DTMとかいうのを趣味としているが、ちょっと今までのやり方では限界を感じている。締め切り駆動でバッと大き目な時間をとって、ガッとやる。昔はそれでよかった。それが本当にできなくなってきている。何とか細切れの時間をうまくやりくりしていかなきゃいけない(そこまでしてやるものか?)。
そんな試行錯誤を何年かしていたので、現状であったり、思うところを一回まとめてみる。まとめることによって改めて気づきがあるかもしれないし、来年以降の僕の役に立つかもしれないから。
方針としては制作におけるタスクやフェーズをきちんと切り分け、認識することにある。ここをなんとなくバーッとやっても何故か最後には曲は出来るが、とにかく見積もりができないのだ。加えて個々のタスクで注意すべき観点なんてものが枠組みに落とし込めたらばっちりである。
大体のプロセス
すごくざっくり図示すると現状の自分のフローは以下のようなイメージである。各ノードが中間成果物、パスが依存関係を表している。

作曲と編曲とミックスの3フェーズに分かれており、作曲フェーズの主な成果物は主旋律とコード(加えてベース音)、そし歌詞が特定されていることである。
作曲フェーズ
昔は作詞と主旋律を同時にという具合にやっていた時期もあったが、最近は分けた方が生産性が上がっている気がしている。タスクは細かく分割した方が認知負荷が低いのと、あとはシンプルにどちらかを修正して辻褄を合わせようとすると(自分にとっては)歌詞側を弄る方が容易だからだと思う。
見ての通り、作曲における歌詞の作成は、ボーカルの音声ファイル作成までは後回しにすることができる。加えてここはDAWでの作業が必要ないので、スマホなどに作っている最中の音源などを入れておけば、どこでもできる数少ない作業である。数日自宅を離れてる期間などが生じることもあるため、そのような時間をここに充てられるように進捗を調整している。
改善した・したいこと
コードをしっかり目に固めてから次のフェーズに進むは割と最近意識していることの一つである。DAWとかいう何でもできるアプリケーションがある今、あえてフェーズを区切る必要性も薄いのだが、どちらかといえば自分の認知負荷の観点で、事前にしっかり固めた方があとで悩まない気がしている。
ここをしっかり固めるのにあまり前向きになれてなかった理由として、コードを色々考える便利ツールが無かったことがある。特にギターなどの楽器がもう万能で弾けたりすると演奏してサンプリングしながらコード選定ができるのだが、ギターもピアノもすらすらとは弾けないので、コードの構成音を調べる→押し方を調べる→鳴らすを繰り返すのは結構現実的に苦痛なのである。
この辺を便利にするプラグインやソフトウェアは色々世の中にあるのだが、結局自作してしまった。調とテンポが選べて、マウスポチポチでコードと長さを選べて、プレビュー機能とmidi出力と途中保存・読み込み機能がついてるWebアプリみたいなのはclaudeくんがシュッと書いてくれてしまったので、このフェーズではそれを愛用している。
スクショくらい貼りたかったのだけれど今ちょうどPCが死んでて割愛。夏から使ってて改善を繰り返しており、だいぶ使い勝手は良くなってきたので、オンプレやめても良い気がしている。
メモ書き程度に制作過程のスクショが残っていたが大体こんな感じのものをポチポチ繋げてく感じである。
雑に作らせたexperimentalな機能の表示もいくつかあるがまぁ一旦気にしないということで。
編曲フェーズ
パートを増やすがかなりばっくりしているが、ジャンルによって異なるし、加えてジャンルによって大きく必要な時間が変わってくるのがここである。前回書いた曲と同じような構成、得意な構成みたいなものだと結構サクッといってしまうし、あまり慣れていないジャンルだとここで試行錯誤が入ってしまう。逆説的にスケジュールがタイトだとここを慣れた編成にして時間を稼ぐをやりがちである。
前述のコード選定とこのパートを意識して分離したメリットはここにもあり、コード選定とパートの音足しを同時に考えるのはちょっと僕の頭だと難しく、かなり無駄に時間を消費する(現状をプレビュー再生し続けて時間を浪費し、何も進捗が出ない)状態になりがちなのである。
あとはハモリもコードに結構依存する気がしているので、やはりコードは固定してからこのフェーズに入るメリットは強い気がする。
いずれにせよ、このフェーズに入るともうコードは弄れないというよりは、コードを弄るときはコードのみの修正に集中する、みたいな意識をしておく、コンテキストスイッチを置く、位のノリである。
改善した・したいこと
まだやれていないのでやりたいことを書いておくと、ジャンルごとの標準パート構成の辞書みたいなのを作っておくとよいと思っている。特にダンスミュージックだと薄い音を重ねまくりがちで、作り終わると忘れがちなので、この辺りをきちんと整理しておくとよさそうである。
たぶん、
- 音の高さの分布(低音か中間か高いかくらい)
- パン(定位)
- よく使う音のプリセット
- 音の鳴らし方の傾向(白玉なのかアルペジオなのか)
- セットで使うエフェクトのプリセット
あたりを抑えておくと再利用性がよさそうな気がしている。あとは必須か、あると厚みが出るとか、余裕があれば足すみたいな優先順位もあるとなおよいのかもしれない。
加えてこの辞書の拡充は耳コピや普段の音楽鑑賞でもできると思っていて、この辞書の拡充というコンテクストを加えたうえで、音楽を聴いてみたり、耳コピをしてみたりするのはシンプルに良い訓練になるのではないかと思っている。
あとボーカルについては、synthesizer V採用以降デフォルトですごく発音が良くなったのでシンプルに時短になっている。鏡音リンちゃんの新製品を永遠に待っている。
ミックスフェーズ
後段にはなっているものの、編曲におけるパート数を増やす段階である程度これも実施している。というのも、バランスを整えてプレビューしないと足すべき、減らすべきパートなどわからないからである。もちろん概ねパートが固まってからが調整の本番ではあるものの。
この段階でもパート数を増やすとき同様ジャンル依存でパターンわけが生じるため、この辺りの知識・辞書を自分の環境で整備するべきという点は編曲フェーズの課題と同様である。もちろん一般的なTipsはあり、自分は昔アメリカ出張でバークリー音楽院に寄ったときに浮かれて生協っぽいとこで買ったThe Mixing Engineer's Handbookあたりを参考にしている。自分の持っているのはThird Editionだが今はSixth Editionらしい。
ミックスの良しあしの判断は当然主に耳で行われるわけだが、あまりそこをどうするべきかを詰められていない。
改善した・したいこと
地味に困っている点として、自分の耳が信用できないことがある。疲れや状況によって当然聞こえ方は変わるので、ちゃんと現状のミックスの品質を測定するフレームワークが必要であると考えている。
観点としては、
- 明らかに耳障りな音がある
- バランスが理想的でない
の二つを抑えるべきだと思っている。
前者については、よっぽどのことが無ければコンディションが異なっていても異常は異常と感じられるので、比較的耳を信用してよいと思っている。この辺はもうチェックリスト的に観点を列挙してしまっても良いのではないかと思っている。
後者については、要は耳が絶対的基準を持たないことが問題である。すなわち基準のばらつきを抑えるため、何らかの比較対象を用意してそれとの類似性をもってバランスが取れていると判断するのが一般的である。いわゆるリファレンス音源と呼ばれるやつである。改めてリファレンス音源による確認をすべき、はそれはそれとして、
- 比較するときにどのように聴くか
- 比較するときについでに見ておくと便利な数値はあるか
あたりをちゃんと掘り下げてプロセスを固めたい気がしている。
全体を通じた課題感など
この辺り、特に作曲と編曲の分離周りを意識したのはここ1年くらいなのだけれど、限られた時間で進捗を出すという点で、手ごたえは感じている。何も考えず作業をしようとすると纏まった時間が取れないと全く作業が進まないのだが、こういったコンテキストを踏まえて作業をすると、30分、1時間程度の作業時間でも前進することができている。
一方でコンテキストを区切るということは多段決定になっているわけで、コンテキスト間での依存に弱くなる気がしている。具体的には、主旋律以外のパートとの掛け合いなどは本来「主旋律」と「パートを増やす」を横断するタスクのはずで、パートを増やすを後段にしてしまうことで、意識しないとこれをうまく使った曲が生じづらいというバイアスを既に感じている。
作曲の段階でこの辺りもう少し細かい情報ありきで旋律含め設計したり、パート数増やす段階で主旋律の修正を入れたりするべきなんだろうなと思いつつ、かなり単純化してタスクを区切ることでこういう明らかなデメリットが生じているのは面白いと言えば面白い。
まとめ
というわけでなんというか自分の曲を書くときのプロセスみたいなものや課題感について一旦がーっと言語化してみた。趣味として続けるのがもう限界かとちょっと思っていたのだが何とか生きながらえている。